あの頃、綾香は泣いてばかりいた。


両親が亡くなったばかりなのだから、それが理由なら当然だ。


ただ、その原因の半分は俺にある。


綾香は、よく家に遊びに来ていた。


知り合いもいない土地で、友達を作らせようと思ったのだろう。


綾香の叔父は父に用があるたびに、綾香を連れてきた。


今思えば、自分の可愛い姪を自慢したかったのかもしれない。


初めて引き合わされた時、叔父の影に隠れて一言もしゃべらなかった。