『衣緒李いいぃ!!おめでとう!!!!!』


勇人の弾けるような笑顔。


『ありがとう!!』


負けじとあたしも笑顔で。


あたしたちの笑顔のワケ。


それは…


あたしのNewアルバムが2月のオリコンチャートで1位になったのだ。


『さすがやなぁ。俺が,いろんな人に売り込みしたおかげやな』


『なに言ってんの,あたしの実力だよぉ』


『あはは,わかってるって。……俺,来シーズンからはさ,入場曲変えるわ。』



『え?何にするの?』


わかってたけど,あえて聞いてみる。


『IOの…【HyT-ハイト-】』


この曲は,あたしが
作詞作曲を手掛けたラブソング。


曲名も,内容も,
もちろん勇人にむけた曲。


『この曲のサビ,めっちゃ好きやねん。「いつ別れるかわからない いつ嫌われるかわからない それでも それでもいいから そのときまでは傍にいさせて」って,共感できる』


『それはあたしの気持ちなんだからね!お互いにおんなじこと思っててどうすんのっ』


あたしは笑って言った。


『えぇやん。お互いにお互いが大好きって証拠なんやし…俺ら,職業上,いつどうなるかわからへんねんで?』



そっか…
そうだ。


今だからこそこうして一緒にいられるけど,勇人がいつ他のチームに移るかわかんないしね。


『とにかく,今度から俺の入場曲はHyTや!!』


『はいはい』


幸せな,今の時間を
一生懸命生きてかなきゃ。