音はしない。 今なら逃げても平気だろうか? しおんひろやに捕まっている前提で 話を進める自分。 まあ、とにかく、 今度は織を連れて 何が何でも逃げる必要があるだろう。 私はそう脳内で自分に言い聞かせると、 扉を勢いよく開けた。 ガラッ!! 「あぁっ?!」 扉の開く音とほぼ同時に重なる 私の物ではない低い声。 声の持ち主はすぐに分かった。 織だ。 「なんで、ここにいるの?」 状況がつかめないように、 私はそう呟いた。