綾乃は、
まだ完全に閉じていなかった
薄らぼやけた意識の中で
織が言ったその名を復唱した。

しおん、ひろ、や。

きっとあのおちゃらけ野郎の名前だろう。

その推測を最後に、
綾乃の意識は完全に途切れた。