「だけど彼は私を愛してくれたよ

それは胸張って言える。

あの時、

会えない辛さを理由に別れを切り出した私の言葉に

プライドの高い彼は
あっさり受け入れた。」


「何で?あたしにはわかんない」


「若かったのよ。
お互いが必要な存在だったはず…

だけど弱音を見せたくない私と

自分から去って行く者を追わない
彼と私の意地の張り合いがあったんかなぁ…」



「もうやり直せないの?」


「彼にはもう家族がいる…からね」


帆は言葉に詰まった



私は何も言わずに帆の背中にくっついた。

背中越しに聞こえる鼓動…

帆の呼吸…


帆は取り戻せない過去を悔やんで泣いた…


こんな弱い母を見たのは初めて…


帆…泣かないで

今のあたしは帆の側にいることしかできなかった…(v_v)