だが、マリアはそれがとても羨ましかった。
自分の家と比較してはいけないのかもしれないが、仕事をしているのに、マリアの家は仕事優先で、高沢の家は家族を優先すれ温かい家庭だったからだ。
慣れない環境に居心地悪さも感じるのだが、羨ましくもあった。

それは、宛もない八つ当たりだとわかっていたが、理解しても、それをどう処理すべきかマリアはわからないでいた。

ただはっきりわかることは、この2人の間に産まれてくるお腹の赤ちゃんはとても幸せだということだ。

しばらく、高沢と絵里子の話が続き、時々マリアに声がかけられる。

心地よいはずなのに、時々違和感を感じつつも、時計が10時半を過ぎたため、高沢の車で帰路に着いた。

その日は何も考えずに、気絶したかのようにすうっと眠ることができた。