家族3人が住んでいるはずの家は真っ暗で、物音一つしない。

今に掛けてある家族の予定表が書かれたカレンダーには、両名とも『出張』という文字が並んでいた。

「お母さんは3日で、お父さんは一週間いないのね…」

カレンダーを見つめながら、私は溜め息を吐く。

「明日、お金下ろさなきゃならないわね」

高校に入ってから、1ヶ月のお小遣いは銀行の講座に振り込まれるようになった。

高校に入り、雑貨屋でバイトを始めた。給与が地元銀行の講座振り込みになったことをきっかけに、母親から貰う1ヶ月の小遣いも銀行に振り込まれるようになっていった。

私はそこから自分の欲しいものや生活費を出していた。


3人の共同部屋だというのに、いつの間にか個室のようになっている部屋に入り、自分で購入したベッドに寝転ぶ。

窓際にベッドを置いたため、月明かりが 淡い光を放っている。

「黒猫には月がぴったりだ…孤独物には孤独を」

そう呟くと、私はコロンとベッドに身体を委ねる。そして身体を丸めて眠りの中へ旅立っていった。