マリアはクロを抱きしめ、弥生が先ほど綺麗にしたソファに腰を落ち着け、クロを撫でる。

ゴロゴロと軽快な音楽を慣らせるクロは、マリアの膝上が良いのか、そこでもまた丸くなり目をつぶった。

ソファは一つのテーブルを囲むように点在しており、一人掛けが２つ、三人掛けが２つあり、その中の一つがベッドにできる代物だった。

マリアが三人掛けのベッドの左端に座ると、隣りに道成が座ってきた。

テーブルを挟み、マリアの合い向かいには久志と弥生が腰を下ろす。

「そういえば、マリアちゃんはどこでバイトしてるの？久志は知っているみたいだけどさ」

弥生が戦陣を切って質問をする。

しかし、教えたくないマリアは口をつぐむが横槍が構わず入った。

「駅の商店街にある“キャッツ”という喫茶店だよ」

呆気なく久志がバラしたため、マリアの隠しも水の泡となる。

「あそこか…」

「そう。あそこだよ」

「なんだよ。２人して…」

このヒントだけで道成はわかり、弥生にはわからなかった。
もしかしたら、道成がこの３人の中で一番上にいるのはこれが理由かもしれないとマリアは感じた。