黒猫前奏曲

「せっかく気持ちよさそうに寝てたのに…この子(クロ)にとって大迷惑だよ」

そう大好きなマリアにきつく言われてしまえば、蓮も黙るしかない。
いつも賑やかな蓮がマリアパワーによって静かになる姿を見せつけられ、3人はその凄さにただ驚くしかなかった。

「さすが黒澤。問題児まで手名付けたよ」

感心する久志はマリアに拍手を送る。
その態度に蓮は睨みつけながら久志に近づく。

「蓮は問題児じゃないよ。少しうるさいかもしれないけど、元気だし、明るいし、単純だし、私は…うらやましいよ」

マリアの発言に今まで久志を睨んでいた蓮でさえ、マリアを見つめる。

「俺、嬉しいです!マリア先輩にそう思われていたなんて」

蓮はマリアに向かって突進する勢いで抱きしめようとしたが、蠅たたきの蠅のごとく、マリアの目の前で上から力任せ叩かれて、地面へと落下した。

「あ~ぁ。道成、もうちょっと優しく叩いてやってよ。一応、俺のかわいい弟なわけだし」

ポリポリと困ったように頭をかきながら道成に言う弥生。いつものチャラチャラした弥生ではなくなんだか兄の顔をしており貫禄を感じた。

「いや、悪い。でっかい蠅がいて」

「それで、蓮は大丈夫なの?」

蓮は未だに床に突っ伏したまま起きようとしない。

「こりゃ、完全に延びてるよ。弥生、ベッドに運んでやれ」

久志の指示に弥生が意識のない蓮を抱え上げベッドに横にする。道成とマリアは座っていたベッドから退き、蓮に場所を譲った。