黒猫前奏曲

「猫は好きか?」

話題を変えるように、ぶっきらぼうに道成が言う。

「好きよ。私も“ブラックキャット”なわけだし…」

マリアは膝の上で遠慮せずに眠っているクロを優しく撫でる。

「そうか」

道成の返事は素っ気なかった。
だが、マリアにとってはこのくらいの会話の方が気が楽で済んだ。

「黒澤?今日何も聞かずにここに連れてきちゃったけど、今日はバイトないの?」

「バイト?マリア先輩、バイトしてたんですか!?」

久志の問いに、蓮が首を挟む。そして、自分より知っている久志が悔しかったのか、蓮は久志を思いっきり睨みつけた。

「おい、俺を睨むなよ」

やれやれといった表情を蓮に向け、軽く溜め息を吐く。

「今日はないよ」

投げやりのように言うマリアは、本当に自分のことを話しているのか疑わしくなってしまう。

「マリア先輩、いつからバイトしてたんですか!?いつ?どこで?何時から?」

蓮がマリアに詰め寄ってくる。そのあまりの凄まじさにクロは驚き、頭を上げる。