黒猫前奏曲


-チリン

各々が自分のやりたいようにしている中、軽快な鈴の音が響いた。マリアは音の方に自然と振り向く。

「あ、クロじゃねぇか」

そこには真っ黒に赤い首輪がトレードマークの成猫がいた。

「ねこ?」

「そう、“クロ”って言うの。2年前からここに居座るようになったから首輪付けてるんだ」

弥生はクロを抱こうとクロに近づくのだが、ヒョイッと何事もなかったように見事に交わされる。

「弥生、猫にまで遊ばれている」

ボソッと蓮が呟き、久志が目線をパソコンに向けたままプッと吹き出した。

「久志、笑うな!!」

よほど悔しかったのか、顔を真っ赤にさせながら久志をどなりつける。

そのクロはと言うと、スーッとベッドまで近づくと、ストンとベッドの上に乗る。そのままクロは初対面であるマリアの膝の上に乗り、腰を落ち着かせた。

そのクロの珍道中にマリアと道成は顔を見合わせた。

「マリアにそっくりだな」

道成はマリアとマリアの膝で丸くなったクロを見つめて小さく笑った。だが、そこにはいつもの冷たさはなく、温かさを感じた。