繁華街

夜はとうに更けているというのに、ここは昼間のように明るく、賑やかだった。
そこから少し離れた住宅街はそれとは逆にひっそりと佇んでいた。

その中を1人歩く少女がいた。

暗がりの道をせかせか歩くのではなく、優雅に余裕のある歩き方で周囲の様子を見渡しながら自由気ままに歩いていた。

「やっぱりここは繁華街と違って静かでいいや」

一軒一軒の庭先やベランダを見ながら、気ままに散歩を楽しんでいる少女はふと道の真ん中で立ち止まった。

「ブランコ…ブランコに乗りたい」

突然、言葉を発するや否やクスリと口角だけを上げるだけの笑みを浮かべ、再び道を歩き始めた。


しばらくすると、道路まで溢れ出す幹から別れた枝が、自由を求めて手を伸ばしているかのように精一杯広げている姿はなんとも滑稽で哀れだと感じてしまう。

少女は迷いなく公園内に入っていく。