「マリア!早くエプロン着て手伝ってくれないか?」

学校からそのままバイトに向かい、バイト先の喫茶店のドアを開けるや否やボスの声が響いた。
客がいるのに相変わらずでかい声だ。

「はいよ、ボス!すぐに着替えてくるから待ってて」

「こら!ボスと呼ぶな!ここでは、高沢さんって呼べって言ってるだろ!」

そんな声を無視して、私は奥の更衣室に向かう。更衣室といっても、ここにはボス(高沢さん)とアルバイトが私を含め、3人しかいない小さな個人経営の喫茶店なため、居間の一角を仕切った簡易的なものでしかない。

それに、女性は私しかいない。男性諸君は居間で平気で着替えていく。そのため、この更衣室を使うのは私くらいなものだった。

「マリア!早くしろ!」

居間の扉を挟んでボスの声が響く。