けれど実際は、数学で赤点を取ってしまったわたしが幼馴染のコイツに勉強を教えてもらっていただけだ。

一つの机をはさんで、向かい合わせでいた。

確かに顔は近かった。

けれどキスを事故でするほど近くはなかった!

「なんでっ…いきなり!」

頭に血が上る。

目の前がくらくらしてしまう。

「したくなった」

「…顔が近くにあったからって言ったら、もう一発ぶん殴るわよ?」

「それもあるけど…」

そう言ってわたしの髪に触れてきた。

その手の優しさに、思わず胸が高鳴る。