「なぁ、どっちがいいと思う?」

「え?」

「どっちもいい意味なんだよな。捨てがたい」


 差し出されたTシャツは、同じ形だったけれど英字が違った。

 Tシャツの色で印刷された言葉が違うらしく、どっちもよさそうな言葉だった。

 こういう風に聞かれるのって、4年も一緒にいて初めてかもしれない。

 私はよく聞くけど、大輔は直感型だから。

 妙にうれしくなって、素直に口にした。


「言葉じゃ決められないよ。色だとしたら大輔には赤が似合…」


 言ってからはっとした。


『好きな人には赤が似合うって思っちゃうんだよね』


 大輔がこっちと掲げたのは赤色。

 その逆にもったのは白色。

 どんなにまじまじ見ても、大輔に似合うと思うのは赤色だった。