微笑ましそうに目を向けている彩花ちゃんを見ながら、私は髪をいじる。

 頑張ってのばしている髪。


『どっちかっていうと、髪は長いほうが好きかな』


 いままで、肩まで伸びたら切っていた。

 我慢して伸ばして、肩甲骨に届かない。

 理想を現実と捉えるならば、私は負けている。

 理想と現実は違うというけれど、それでも応えたい。

 少しでも近付きたい。

 視界という枠の中に収まる2人の笑顔。

 私は決して口にしてはいけないことがある。

 また私は後悔して、またごめんねと謝って。

 テーブルにできた水たまりで落書きをした。