「好きな人には赤が似合う、と私は小学校から思ってるんだけどどう思う?」

 突然、沙織が言った。

 食後のデザートのパフェのアイスをスプーンに乗せて揺らす。


「え?何それ?」

「運動会とかでさ、はちまきするでしょ?
小学校のころとか2クラスだったからさ、赤と白しかなかったんだけど、好きな人には赤しかないよねとかさ思ってた。
白は全然似合わないの、びっくりするくらい」

「んー、考えたこともなかったな」

「うそー。そんな話しなかった?女友達とそんなことばっかり話してたけどなぁ」


 沙織は懐かしいなぁと言いながら、パフェをつつく。


「だから、私、赤色の似合う男を探すから!」

「…それってつまりは、好きになった人ってことでしょ?」

「気付かないうちに好きになってるってこともあるかもじゃん」