この晩、俺たちは自分たちを遠ざけられていた『結界』というものを、彼女と一緒に解き放った。

俺たち洋魔族の力と同じくらいの物が、この街全体を覆いつくしていたなんて。

いったい彼女の先祖とは何者なのか。星たちに尋ねるが、何も答えてはくれない。

ふと、俺の口に柔らかくてヒンヤリした感触が伝わった。

何が起きたのか確認しようとしたら、目の前に彼女の顔があった。

一瞬の事で理解できなかったが、彼女は臆する事無く、笑顔をくれた。

「恋人同士である印」

「何が?」

「知らな~い」

さっきまで凛としていた彼女が、急に俯きだした。月明かりに照らされて、赤らめた顔であるのがわかる。

そんな彼女に愛しさを感じ、俺の手が勝手に目の前の小さな身体を、包み込んでいた。