「――――――!!」

そして、やっと視界の中にとらえて、いてもたってもいられなくて、走り寄る。

織葉は、ベンチに座って、ボストンバッグを抱えて、それに突っ伏すようにしてうなだれていた。

「織葉。迎えに来た。」

「・・・」

織葉が、俺のことを拒絶するはずない―――そんな自信を持って話しかけたけれど、織葉からは何も返事が返ってこない。

その織葉の態度に、心が冷えていく。

「―――返事をしろ。」

「・・・」

それでも、何も返事がない。

いや、こんな偉そうなことを俺は織葉に言いたいわけじゃない。

なのに、うまくしゃべれない。

「―――謝るから!」

「・・・」

織葉はそこまで怒っているのか・・・そう、絶望が心を占拠しそうになった時に気付いた。

「・・・織葉?」

・・・寝てる、のか?

少し気の抜けたような気持ちになる。

織葉の体は、規則正しく上下していた・・・けれど、なんだかその規則が、妙に早い。

先程車の中で抱いた嫌な予感のことを思い出して、織葉の肩をつかむ。

「織葉!具合が悪いのか?織葉!!」

少し揺らしただけなのに、織葉は俺の方に、力なく倒れこんできた。

体はコートの上からでもわかるほど熱く、呼吸は速いが弱弱しく、顔が赤い。

「織葉―――!!」