「いや、そんなこと・・・!」

「ないない!」

「むしろ何もなかったんだから!」

そうして3人は情けなく逃げ帰ってしまった。

何あれ、私を自分のものにしようって人たちが、あれでいいのかしら。

イライラしながら立ちあがって、乱れた制服を直していると、緋凰が私に近づいてきて、そのまま、引き寄せられた。

「・・・え、緋凰?」

緋凰がいきなりそんなことしてくることなんてないから、びっくりしたけど、緋凰の顔を見上げようとしたけど、身動きすら取れなかった。

「緋凰、授業は?もう始まってるのに・・・。」

「そんなことどうでもいいんだよ。」

やっと緋凰が話したと思ったら、ものすごい怒ってる声。

その時、腕の力が少し緩で、顔をあげると、緋凰は怒った顔をしていて、瞳の色が黄金だった。

「緋凰・・・!?」

怖くて身をすくめたその時。

『ビリッ』

制服の襟元が音をたてて破れた。

その瞬間、次に自分の身に起こることが手に取るようにわかって、脳がフル回転した。

血を飲んでない緋凰が、日向で、怒ってる。

危ない。

「や・・・、緋凰、ここ学校よ!緋凰!!」

緋凰は何も言わず、私の髪をよけた。

「緋凰!!日陰に行こう!」

今日の日差しは穏やかだけれどさんさんと降り注いでいるから、緋凰には辛いはずなのに、緋凰は私の話を聞こうともしないし、動こうともしない。

身動きを取ろうにも腕はびくともしない。

「ねぇ、緋凰、お願い!」

私のあせった声とは裏腹に、緋凰の動きが緩慢すぎて、逆に恐ろしい。

「緋凰!」

そんな私に牙を立てる前、耳に唇を寄せるように。

「学校、くんな。俺についてくるな。」

なんでそうなるのかよくわからない、でも拒絶されたことだけしっかり分かる言葉に体が凍りつき、頭の中が真っ白になる。

今、言われた言葉、は・・・。

『ブツッ!!』

皮膚が破られる音、なんで、今日はこんなにも、大きく聞こえるのかしら・・・。

皮を突き破る痛みなくすために、いつも舐めてくれるのに、それすらない。

ああ、こんなにも、皮を突き破られるのは、痛いことなんだ・・・。

「ひおうっ・・・!」