「実紘、私、織葉探しに行くから!織葉信者に連れてかれたって!授業遅れるよ!」

「んー。気をつけて。」

マイペースな実紘を残し、走り出そうとした私の肩を緋凰が強引に掴んで止めてきた。

「ちょっと何、緋凰!急いでるのに!」

「俺が探す方が早い・・・。」

確かに緋凰なら織葉のこと感じれるから早い。

御門一族は、自分が何回か血液を摂取した人間ならば、どこにいるか、だいたい半径500メートルくらいまでだったら感じ取ることができるから。

力の強い緋凰だから、半径2キロくらいまでは軽く行けるだろうし。

けど、昨日の一件で、私の中の緋凰への評価はガタ落ちのため、なんだか素直に言うことを聞く気にはなれなかった。

「何よ偉そうに・・・!」

振り返って緋凰を睨んだ、・・・その時気づいた。

5分もすれば授業が始まるであろう体育館の中には一般生徒が30人は集まってきてるっていうのに、緋凰が瞳を黄金に輝かせていることを。

「緋凰、あんた・・・!」

「・・・馬鹿の一つ覚えみたいにわかりやすい・・・。」

それだけつぶやくと、体育館を駈け出して行ってしまった。

「おお?珍しい。緋凰が本気になった。」

実紘は緋凰の状態に気が付いていないらしく、のんき。

「やばいよ、実紘!早く、緋凰と織葉探さなきゃ。緋凰の目、黄金だった・・・!」

一族が瞳を黄金いろに輝かせる時は、感情が高ぶっている時。

つかり、今回は、織葉を連れ去った馬鹿どもに対しての怒りで、感情が高ぶっている。

こういうとき、緋凰は、何をするかわからない。

緋凰の力が強いだけに、余計。

私のその言葉に、実紘の顔つきがやっと険しいものに変わった。