「じゃあリカちゃんがポルターガイストだって言ってたのは…」

「また淑恵さんにかまってもらいたくて、子供なりに芝居をうったんだ」

「淑恵はそれが分かってたの?」

あたしの問い掛けに、淑恵は首を振った。

「あたしはただ、理花がおびえてたから相手をしただけで…」

それはそうだろう。

分かっていたら、今回の事態にはつながらない。

最初は相手してた淑恵は次第に亡くなった旦那のことを思い出すようになった。

一方、リカちゃんのお化け話は次第にエスカレートし、周囲も巻き込むようになった。

たぶん子供ゆえに歯止めがきかなくなったんだろう。

それに2度の不審火が重なり、淑恵とリカちゃんのすれちがいは決定的となった。

そして結果的に…。

「あの子がそんなことを考えてただなんて…」

「淑恵さん」

達郎は硬い口調を淑恵に向けた。

「理花ちゃんにとって、淑恵さんが…母親がどれほど大きな存在かわからないのですか?」