そう思いつつもあたしも捜査用の白手袋をはめて屈み込んだ。

しばらく2人で地面をあさっていたが、ふと達郎が何かに気付いて顔をあげた。

「達郎?」

達郎は並んだ灌木の間をじっと見つめていた。

木々の間からもれる陽射しがその顔を照らす。

「達郎ってば」

達郎はあたしの声を無視して立ち上がった。

そのまま歩いて木々の間に割って入ってゆく。

あたしはあわてて達郎の後を追った。

木々の間を抜けた向こう側にはブロック塀が見えていた。

塀の向こう側には築50年はたとうかという平屋が一軒見える。

「よっと」

達郎はブロック塀に手をかけるとあっという間に登ってしまった。

「ちょっと達郎!」

あたしは瞬時に目付役モードに入り、あわてて声をかけた。

しかし時すでに遅し。

縁側でお茶を飲んでいた隣家のお婆さんと目が合ってしまった。

お婆さんは塀の上の達郎と、あわてふためくあたしを見て、ポカンと口を開けた。