母親に、淑恵に固く口止めされてもオバケがいると言い張る理由は?

「鑑識課としては、気になることがもうひとつあるわね」

「不審火ですか」

里見さんはうなずいた。

「火のないところに煙は立たずと言うけれど、人気のないところで火事が起こる原因は何かしら」

しかも火元はふたつとも淑恵の出した新聞紙だ。

「もし虐待がストレスによるものだとしたら…」

「そのストレスが子育てによるものではないとしたら…」

あたしたちは視線をかわした。

「謎を解く必要があるわね」

「はい」

「となると『彼』の出番ね?」

里見さんは微笑んだ。