しかしリカちゃんは淑恵がオバケのことに関して相手をしてくれなくなったので、学校でクラスメート相手にオバケや火事の話をするようになったらしい。

そしてその結果、一部のクラスメートから変わり者扱いされるようになってしまった。

「なんであの子がそうまでしてオバケの話をしたがるのか、あたしにはわからないの」

淑恵は注文したコーヒーを見つめた。

一回も口をつけてない。

もう冷めてしまっているだろう。

「何回やめろと言っても聞かなくて、こないだもつい…」

「つい?」

そう訊き返すと、淑恵は「あっ」という口の形を作った。

その仕草は先日のリカちゃんのそれとそっくりだった。

「なんでもないのよ」
淑恵はあわてて手と首を振った。

しかしその笑顔は引きつっていた。

その後、早々に勘定を済ませ、あたしと淑恵は喫茶店を出た。