「やっと思い出してくれたのね。あたし、そんなに変わった?」

ほほ笑む淑恵に対し、あたしは馬鹿みたいに何度もうなずいた。

スリムなその体型に中学時代の面影はない。

おさげ髪はショートボブになり、眼鏡はコンタクトに変わっていた。

「わたし」が「あたし」に変わっていたのは言わずもがな。

「あたしは麗美のこと忘れたことなかったんだけどな」

淑恵は少し、さびしげな表情を見せた。

「あたしをかばってくれたの麗美だけだったもんね」

大人しい子だった淑恵はクラスの一部の生徒からいじめを受けていた。

そんな彼女をかばった記憶は確かにある。

昔っから弱い者イジメは大嫌いなあたしだった。

「ごめん、なんか見違えちゃったもんで…」

あたしが頭を下げると、淑恵はあわてて首を振った。

「いいのよ別に。気にしないで」

そう言って淑恵はあたしの手をとった。

「それに今日はお礼を言いにきたんだから」