リヴィアからしてみれば、傷心のミュリエルに付け入っただけかもしれないが、今のミュリエルにとって、頼れるのはもはやリヴィアしかいなかったのだ。
ミュリエルはリヴィアからもらった紙を握りしめると、ゆっくりと立ち上がった。
聞いた話だと、リヴィアは踊り子だと言っていた。
ミュリエルも街一番の踊り子がいる店という事は噂で聞いた事があったが、あまりいい噂は聞かなかった。
しかし、行く当てのないミュリエルに選択の余地はない。
まとめた荷物を再び持ち、ミュリエルはリヴィアの店に向かって歩き出した。
今の自分には…
もう、帰る場所も待っていてくれる人もいないのだから…
今まで涙に濡れていたミュリエルの美しい水色の瞳には、強い決心の色に変わっていた…


