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まさかヴェルヌに拒否されるとは思わなかったリヴィアは、プライドを傷つけられ怒りに震えていた。
少し前までは、愛されてはいないにしろヴェルヌにとって一番の存在だった。
それなのに…
あの女のせいで…
街一番の踊り子として、常に華やかな世界にいたリヴィアにとって、使用人に負けたという事は屈辱以外の何者でもなかった。
そして、その美しい容貌で何人もの男を虜にしてきたリヴィアは、たとえそれが一国の王であれ自分が振られたという事実を受け入れる事ができなかった。
ヴェルヌに部屋を追い出されたリヴィアは、その足である人物を探し、城を歩き回っていた。
その人物とは…
「ミュリエル」
リヴィアの声に振り向く女性の水色の髪が美しく揺れた。
「こんにちは」
「あなたは…」
突然のリヴィアの訪れに驚きを隠せないミュリエルにリヴィアは優しく微笑んだ。


