ボールはしっかりミットに収まっていた。 監督は何もなかったかの様に、さっきと同じ山なりで緩いボールを投げた。 ボールを受け取ると、監督はど真ん中に構えた。 俺はそこを目掛けて、渾身のストレートを放った。 "バシッッ" 今まで一番大きな音を上げてミットに収まった。 ………。 安心する。 こんな感覚。 お兄ちゃん以来…――――――。 どんなに本気で投げようと、必ず取ってくれる。 俺はこのためにこの学校に来たのかもしれない。