ある日、そのIから電話がかかってきた
他愛もない話をしていたら
「最近体がだるいというか肩が重いんだよね」
大丈夫?というと
「なんか物事もうまくいかないし」
と、暗い
そういえばIはつい最近廃病院Yに行っていたなぁ、とふと思い出したが
私は友人SとIの家を訪れることになった
SはIのアパートについた途端に
駄目だ、と言い出した
何が駄目なのかは
私が怖がると思ったのか
部屋の前につくまえまで言わなかった
いらっしゃい
Iが部屋のドアを開けた途端
カビ臭いような匂いが鼻をついた
「うわっ」
SはIから目をそむけた
部屋が水びたしだ
Iも水びたしだ
真っ白な顔で笑っている
とても奇妙な場面だ
Iは高熱を出していることが判明し
入院させ、完治した後すぐ
御祓いをした
Sいわく
ずぶ濡れのどざえもんの女が
Iの肩の上にかぶさっていたらしい
Iは部屋が水びたしだったことも
自分がずぶ濡れだったことも覚えていない