雲英たちの乗っている車内に、榊のアナウンスが流れた。



「オラてめぇら起きろや!!もうついてっぞ!さては昨日遅くまで起きてたな!」

一番に飛び起きたのは光。


「オイ雲英!!起きろ!仕事だ!」

「んぁ~?」


ゴッ!!!



「ぐぬあぁぁぁぁぁあぁぁああぁーーー!!!」

雲英は光のグーを思いっきりくらって飛び起きた。



「なんちゅー叫び声だ」


「いぎゃい~~」

「お前が起きないからだ」




しばらくして、雲英-kira-と光-kou-は車を出た。

車は二人が出た瞬間、どこかへ走り去って行った。





二人がしばらく歩くと、前方に榊が見えた。

「やっと起きたか」

「雲英がなかなか起きなくて………」

「私光に殴られてすぐ起きたよ!?」

「てめぇ希鳥のアナウンス聞いてねぇだろ!」

「うっ………」

雲英と光の言い争いはいつも雲英がつまって終わる。
そんなやりとりを見ていた榊はクスッと笑って言った。

「ここが紺城町だ。今日から一週間、俺はこの地図に書いてある、沙羅美-sarami-ホテルに泊まる。お前らはこの金でどっか泊まれ。」

榊はそう言って、一枚の手書き地図と、五万円を光に渡した。

「「はい」」

二人はそう答えて、頭を下げた。

「気をつけろ」

「希鳥もな」




そう言って光が顔を上げると、もうそこには希鳥はいなかった。