だから、今回は
里奈ちゃんのピンチヒッターで
自分の実力ではないにしろ
チャンスが転がって来て
叫びたいくらいだった。


まあ・・・いわゆる
恋愛感情ではなかったけど
憧れては、いたんだもん。


『=男前』的意味合いの
『カッコイイ』は
ちゃんと、がっくり来るんだ。


鷹尾センセから、
御駄賃にもらった缶ビールの
プルトップを起こす。

プシッという音と共に
炭酸の小さい爆発が起こる。

いただきま〜す


さっき届いた
携帯のメールを
読み返しながら
すっかり遅くなった
夕飯を食べはじめた。


『真月、明日も
来てくんない?』

鷹尾センセからのメール

私を、名前で呼んだのは
この人が初めてだ。

苗字や、ちゃん付けとか、
姐御とか・・・
恋人ですら、
どこか距離感のある呼び方で、
こんな風に、当たり前みたく
名前を呼び捨てられた事は
なかった。

これだって
ちょっとした夢だった。

でも・・・

『明日は、仕事の後、
レッスンだし。
行っても直ぐ終電だろうから、
パス。』

お断りメールを、送信した。