「でられないから、
もってきてくれる?」

・・・

変に片付いていて
押し倒すスペースに
気まずくなるくらいなら

機材の転がった、
グダグダの部屋のほうが
警戒しないよなあ?


・・・こんな事まで、
きっかけにして
部屋に連れ込もうとは・・・


俺は、狡猾なのか
余裕がないだけなのか
よくわからないが。

でも、どうしても、
ここへ来てほしかった。


場所を説明して、
ルームナンバーを教える。

『もうすぐ、つきそう。』

そんな声が早かったのか

「ちーっすっ♪
こんばんわっ♪」

半ば酔っ払いの様な
テンションで、
彼女がドアをあけるのが
早かったのか?

もう、真月は、
この部屋に入りこんでいた。

俺の縄張りに。


「センセっ♪これ、サンキュ」

彼女は、
微妙なテンションのまま、
玄関先で鞄からだした音源を、
下駄箱の上においた。

「ホントに取り込み中なんだ。
じゃ、ここに置いておくから。
またね。」
 
俺が言葉を発する間もなく、
真月は姿を消して、
ドアがしまった。