樹里の意図するところが
見えない。

「俺、指は長いほうなんだけど、
やっぱ、プレーに響くのは困るんだ。
だから、はめないけど・・・
そういうの、気にする?」

ああ、なるほど。
それを気にしていたんだ。

「別にいいよ。
ある日突然外して
微妙な空気になるなら
最初から無い方がいいから。」

「ごめんな。
浮気も勘違いされるような事も、
絶対しないから。」

尚も、彼は言う。

「あんま、宣言しない方が
いいよ?大丈夫かい?」

「大丈夫。
必要以上に、女に近づかないし。
ヤりたくなっても、
そっちに行く。
変な情も持たない。

俺が、傍にいてほしいのは
ずっと、真月だけだから。」

プイッと、
視線をそらせた樹里は、
やっぱり真っ赤な顔で。

「いい切ったねぇ。」

入籍早々、一人にしちゃって
申し訳ないんだけど・・・

「春に、帰ってきたときは、
『おかえり』って
満面の笑顔で迎えてね。

私、樹里んところに
帰ってくるから。」

今の私の最大の望みは
それだから。