エンジンの音だけが
響く車内。

特に、これといって
行く宛もなく走り出したが
せっかくだし、
しばらく転がすことにする。


「・・・どこか、いくの?」

真月が、ちらっと
こちらに視線を投げた。


「ちょっとだけな。
真月、すぐに風邪ひくからさ。」

ライブ前に
風邪でも引かせた日には
透に何ゆわれるか
わかったモンじゃない。

「で、どこいくの?」

「内緒・・・」

ってか・・・
こんな風に車乗せんの
初めて?

いや、ライブ以来かも。


「樹里のスーツ姿って、
初めてみたよ。
結構似合うじゃん。」

「そう?

なんか慣れなくて
着心地悪い。

今日、最終面接だったんだ。」

「ほう?」

あ・・・真月には
話してなかったかもな。

「俺が行ってた学校に
ギター講師の募集があってね。
受けたんだ。」

「ああ、迷ってたやつね。
結局うけたんだ。
どーだった?
よさそうだった?」

「内定、もらったよ。
来春から行くことになった。」

今日の面接は、
最終の条件確認なんかの
話だった。