仕事を終えて家に帰り、
いつもは見ることのない
郵便受けを開ける。


何通かの溜まったDMと一緒に
みつけてしまった。



ある様なーーー
気がしていた。



ため息を一つ着いて
ポケットにソレを捩込む。



真月に預けていた
合い鍵


最後にみた後ろ姿が過ぎり、
後悔が、胸を締め付けた。


動じる事なく
こちらを見ていた瞳と
走り去った後ろ姿と。


圏外を繰り返す
携帯電話と。


人の気配のない
真月のマンションと


彼女は
俺と話をする気なんて
ないんだと思った。


俺だって、今更
言い訳じみた事を
言おうとは思わないけど。


こんな事になるなら
最初から、
話しておけば、よかった。


アイツと再会した時に。


それすらも もう


今更の説明なんて
弁解にも、
ならないんだろうか?


その後、彼女とは
連絡すらとれず
12月に突入してしまった。


里奈の話では
ボイストレーニングも
今月に入って
やめてしまったらしく
何があったと問い詰められても
答えようがなかった。