透達と別れて、帰路につく。

途中、24時間営業の
雑貨店によって
線香花火と幼児向けの
小さなバケツを購入する。

明日からの出張もあり
早く帰って寝るべきなんだけど
妙な興奮状態にあって
眠れそうにもない。

ひと夏の騒いだ心を
治めるべく
花火でもしようと思い立った。

河川ぞいの遊歩道へ
向っていると、かばんの中で
携帯電話が振動した。


こんな時間に誰?

液晶画面を確認する。


樹里?

通話ボタンをおし、
耳元へ、スピーカーをあてる。

『真月?遅くにゴメンな。』

「大丈夫だよ。今、花火
しようとしてたところ。」

『ああ、透達と?』

「一人。家のそばの
川沿いに来てる。」

『どの辺にいる?』

簡単に場所を説明する。
前に、最寄り駅や
住んでるあたりの話は
した事があるけど・・・

『今から行く。
その遊歩道の傍に、
車道あんだろ?
道沿いで待ってて。』

一方的に言って
彼は電話を切ってしまった。

「今からって・・・
何時になるのよ」