夫からそんな仕打ちを受けた母なる女は、

中絶する時期を逸し、

多分、

無情にも日々大きくなっていくお腹を、
憎んでいたことだろう。


そして、

トカゲの尻尾切りなのか、
赤ん坊嫌いか、

夫への腹いせを私で果たしたのか?、

それとも、
私個人に対する憎しみか、

とにかく、


出産後四日目の早朝、
産院の病室から消えた。
退院時用に用意したサマーワンピースと、
50万近い出産費とともに。

生後四日間、
三時間おきで母乳を飲ませてもらった私は、
新生児室のベビーコットの中で、惰眠をむさぼっていた。

次の三時間後には、
泣こうが、
喚こうが、
あの薄甘い味のオッパイを口に出来ることは、
もう二度とない、
などとは知りもせず…。