「いけない!

忘れるところだった」




 そう呟くと、さっきまで釣りをしていた岩に行き、何も入っていない魚籠と竿を、空いてる手に持つ。




 そして、少年を抱えたまま、軽やかに駆け出した。




 次の瞬間!




 少女の背には、純白の翼が生えていた。




 一点の汚れもない、清らかな翼だった。




 翼を生やした少女が、地面を蹴り、空に舞う。




 そのまま、少女は、西へと飛び去っていった。