少年は、まだ気を失っている。




 だが、少女は、満足そうに微笑んだ。




「これで、よし!」




 少女は、おもむろに立ち上がると、再び少年を軽々と片腕で抱え上げた。




 見る者がいたら、華奢な少女が、自分よりも大柄な少年を、平然と抱えていることに、違和感を覚えるに違いない。




 少女は、今にも駆け出しそうなポーズをとった。




 しかし、それを、ふと思い止まる。