そして、心の中でそっと呟く。




（翁･･････。

賑やかなのは、貴方も同じです･･････）




　甚兵衛が、はぁ･･････、とため息を漏らす。




　そんな甚兵衛の心中を知らんぷりしてるのか、“辰巳の御神刀”が何食わぬ調子で言った。




『ま、しかしじゃ。

あの男、なかなか面白い裁量を下すではないか』




　甚兵衛が、その言葉にまんざらでもない笑みを零した。




　どこか、苦笑いのようにも見えた。




　だが、それ以上に満足そうに見えた。




　小さくなっていく二人を見ながら、甚兵衛が、困ったように頭を掻く。




　やがて、二人のあとを追うように、トボトボと歩き始めた。