「失敗したなぁ。

まさか、こんな所でお縄になっちゃうなんてね〜」




 そう言って、断十郎を見る。




 凪は、淋しそうに微笑んでいた。




「凪!?」




 心配をあらわに自分を見る甚兵衛を、凪は微笑んで見詰め返した。




 凪は、その異能から、今まで周囲の者に疎まれ続けてきた。




 実の家族でさえ、凪を忌み嫌い、凪は幼い頃に身売りされた。




 しかし、身売りされた先でも、やはり凪は忌み嫌われ、結局、そこを逃げるように飛び出す羽目になったのだ。




 それ以来、凪は一人で生きていかねばならなかった。




 少女がどうやって一人で生きていけよう・・・・・・。




 まともな生き方など、望むべくもない。




 凪は、盗っ人になるしか生きていけなかったのだ。




 凪を迎え入れてくれる所など、この世界にはどこにも無い!




 凪は、半ば自棄になり、そう信じ込むようになっていった。




 自分にとって、それが当たり前になりつつあった。




 そのことに、何の疑問も抱かなくなりつつあった。




 だが!