断十郎が、蔵の鍵を開ける。




 重々しく扉が開いた。




 中に居る者達は、皆、一様に不安と警戒心をあらわに、断十郎を見た。




 しかし、扉を開けたのが断十郎だと分かると、ホッとしたため息と、歓声が上がった。




 家人達が蔵の外に出る。




 だが、半壊した屋敷の有様を見ると、皆の表情が歪んだ。




「すまねえ・・・・・・。

屋敷をこんなにしちまった・・・・・・」




 断十郎が、申し訳なさそうに言った。




 しかし、女将が首を横に振る。




「屋敷ならまた建て直すことが出来ます。

今ここに居る皆の無事だったことがなによりの幸運です」




 力強くそう言った女将の言葉に断十郎は救われた気がした。




 そして、蔵の中にまだ残っている二人に視線を移した。




 その表情が憂いを帯びた。