特に、手に馴染んでいない物なら、なおさら負担が強くなるようだった。




 しかし、この御神刀を扱うのは今日が初めてだ。




 にもかかわらず、この御神刀は、甚兵衛のためにここに存在しているかのように、甚兵衛の手によく馴染んだ。




 そして、老爺の声が言った通り、甚兵衛は全力を出せそうだった。




 御神刀の刀身に雷が宿る。




 それは、先程の比ではない。




 夜中であるにもかかわらず、雷のスパークで、その周りだけが昼間のように明るかった。




「あの刀!?

まさか!?」




 彝経九郎が信じられない物を見たように、驚愕した。




 甚兵衛は襲い掛かってくる百葉に、御神刀を一閃させる。




 甚兵衛の鋭い太刀筋に、百葉はかわしきれない。




 右肩から脇腹にかけてが、御神刀の一撃を受け、吹っ飛んでしまった。




「ぐぉぉああぁぁぁ!

何だ!?

この威力!?」




 百葉が荒く息を吐きながら、怯えたように甚兵衛を見る。




 凄まじい程の、御神刀の威力だった。




 甚兵衛のほうも、その威力に驚いていた。




 そんな甚兵衛に御神刀が話し掛ける。




『儂の力は、こんなもんじゃないぞ!

もっと力を解放するんじゃ!

さすれば、お主は無敵になるじゃろう』




 けしかけるような御神刀の声が脳裏に響いたが、甚兵衛自身、自分がどのくらいの力を解放出来るのか戸惑っていた。