「だってだってそうだろう?

これで、晴れてお前も、俺達の本当の仲間になれるってことだろ」




 平治は、正六の考えが読めず怪訝そうな顔をした。




「な・・・・・・何のことを言ってるんだ!?

意味が分からない!」




 正六がわざとらしい仕種で、ため息を吐く。




「意味が分からない?

しょうがねえな〜。

じゃ、ちょ〜っと説明してやろうか。

いいか?

平治、お前はあと一歩で鬼に変化出来るところまできてる。

あとはきっかけだけだ。

きっかけは、見知った人間の死を目の当たりにするのが一番なんだ。

ま!

そういうわけだから、殺せよ。

平治。

その娘を!」




 平治が、唖然とする。




「で・・・出来るわけないだろ!

そんなこと!」




 平治の言葉を正六は不思議そうな顔で聞いていた。




 だがその表情は、どこか芝居じみており、平治をからかっているようにも見えた。




「平治・・・・・・。

俺達の仲間になりたいよな?

俺達は、仲間には寛大だ。

だがな・・・・・・」




 からかうような猫撫で声で言いながら、正六が平治をじぃぃぃっと見る。




 そして、不意に視線を逸らしたかと思うと、かよの髪を強引に掴み、引きずるようにして平治の前に差し出した。