まるで、各々に宿っている神が活動を停止してしまうかのような異様な気配が辺りを覆った。




 それは、甚兵衛達には一瞬のものだったが、妖達には効果覿面だったようだ。




 襲い掛かろうとしていた妖達が、バタバタと倒れていく。




「・・・・・・死んだのか?」




 断十郎が頭を押さえながら、心配そうに呟いた。




「いや。

神の活動を一時的に停止させただけですよ」




 経輝が、心配そうな断十郎に答える。




「やはりこれは神器の力・・・・・・。

これは“九曜の勾玉”の一つ、“神隠すの勾玉”の力では?」




 甚兵衛が経輝に問い掛けた。




 だが経輝は、その問い掛けに答えなかった。




「そんなことより、ここは我々に任せて早く先へ!」




 経輝がごまかすように、同じことをもう一度言った。




 断十郎が甚兵衛を促す。




「俺達は先へ行こう」




 甚兵衛は断十郎に頷いた。




 三人は、その場を彝経九郎と経輝に任せ、先を急いだ。