けれど、それを経輝が止める。




「ここは、私に任せて早く先へ!」




 そう言いつつ、右手を妖達に翳(カザ)す。




 経輝の様子が変わった。




 甚兵衛も断十郎もハッとする。




「こ・・・・・・これは!?」




 甚兵衛と断十郎が驚愕するのも無理はなかった。




 経輝が翳した右手からは、異常な気が放たれていた。




 それは、抗うことの決して許されない摂理とでも言うべきものだった。




 そんなものを人間が放てるわけがない。




 甚兵衛も断十郎も、そこに戸惑った。




 だが、不意に閃く。




「これは、まさか!?

神器の力!?」




 甚兵衛が、信じられぬものを見る目で経輝を見た。




 経輝の放つ超常的な気は、今や臨界に達し、空間を陽炎のように歪める程にまでなっていた。




 経輝が「ハッ!」と気合いの声を上げた。




 すると、翳した右手の先から空間の歪みが波紋のように広がって行く。




「くっ!?

なんてぇ気だ!?」




 断十郎が頭痛を抑えるかのように頭に手を当て呻く。




 凪が小さな悲鳴を上げて甚兵衛にしがみついた。