こんな夜更けに、しかも今の城下を、子供連れで出歩く者などいるはずがない!




(チッ!

まさか、昼間の奴らに出くわしたのか!?)




 せっかく逃げたのに、と断十郎は心の中で恨み言を呟いた。




 それと同時に、一戦交える覚悟を決める。




 昼間の二人組を甚兵衛に調べさせているが、その後すぐに城に戻らなければならなかった断十郎は、調査結果をまだ聞いてはいない。




 もっとも、聞いていれば、一戦交える覚悟など決められなかっただろうが。




 断十郎の覚悟を感じたのか、二人組が近付いて来る。




 しかし、あまりにも無造作な物腰だ。




(よっぽど自信があるらしい。

まあ、2対1だ、それも仕方ねえか・・・・・・)




 断十郎が、グッと姿勢を低く構える。




 その時、二人組から声が掛かった。




「断十郎の旦那!」




 聞き覚えのある声だ。




「!?

甚兵衛か!?」




 姿勢を低くしたまま、少し拍子抜けしたように聞き返す。




 闇の中からは、甚兵衛と凪が現れた。