そんな平治に、正六が声を掛ける。




「おい、平治!

もういいぞ!

下りてこい!」




「えっ!?

いいのか!?

諦めたのか!?」




 そう言う平治を正六が笑った。




「バーカ!

諦めるわけないだろ!

正面から入るんだ!

どうやら向こうは、俺達をお招きくださるらしい」




 そう言って正六は、愉快そうに笑った。




 平治が、塀から飛び下りる。




「どういうことだ?」




 平治の疑問に、京允が答えた。




「奴ら、用心棒を雇ってやがる!

それなりの人数居るようだ!」




「たかが用心棒ごときで、俺達を止められると思ってやがんのか!」




 京允と正六が凶悪な形相に、邪悪な笑みを浮かべる。




 もはや、二人の目的は金ではない。




 ただ、暴力を振るいたいだけなのだ。




 平治は、改めてそのことに思い至り、暗澹たる気持ちになった。




 自分も、この二人の仲間なのだ・・・・・・。




 その事実が、重くのしかかっていた・・・・・・。




 三人は、表に回った。