夜更け・・・・・・。




 平治達三人は、《大木屋》という商家の前に居た。




 平治は、先程吸った煙管の魔薬が抜けきっておらず、吐き気を催す程、気分が悪かった。




 そんな平治に、京允が冷たい眼差しだけで命じる。




 いつも通り、平治が先に忍び込み、中から京允達を招き入れるのだ。




 魔薬のせいで気怠い頭と体を、重苦しそうに動かし塀をよじ登る。




 その間に、京允と正六は、鬼に変化した。




 平治が、何とか塀の上まで登った時、京允が平治を引き留めた。




「おい、平治、ちょっと待て!」




 平治が怪訝そうに京允を見る。




 様子がおかしいのは京允だけではなかった。




 正六も、何かを探るような顔をしている。




 やがて二人は、目配せし合った。




 そして、ニヤリと笑う。




 それは、とても禍々しい笑いだった。




「そうか・・・・・・。

そういうことか!」




 京允が何かに納得して呟いた。




「何だ!?

どうしたんだ!?」




 平治には、わけが分からない。